双子座満月てことは、私の「月"逆"回帰」ももうすぐだなと思いつつ。
あ、昨日の月はまだ牡牛座だった。
と思って後ろを見たら双子座の月が出てたので、撮ってきた。
植物の影がいい感じ。
今回の月"逆”回帰のアセンダントは山羊座だったんだけど、
ちょうど今年の山羊座の季節から、私の中で歴史小説ブームが始まった。
遡ればノンフィクション『空へ』(ジョン・クラカワー)からかな。
現実と物語の中の出来事がシンクロする感じは、『空へ』の感覚が近いかもしれない。
まぁ、ヒマラヤと近くの山(しかも遭難した訳ではない)、帝国ホテルと数ある新規開業ホテルの一つ、というので大きな差はあるとして...
本との出会い方は『ボタニカ』と近かったかもな。
本屋で気になりつつも、今すぐ読みたい訳じゃないんだよな〜と後回しにしてたんだけど、読みたい!という時期がやってきたのだ。
それが両方とも双子座の「月"逆"回帰」がやってくるときだった。
そして、モチーフになっている主役級の人物が揃って双子座なのだ。
ただの現実逃避といえばそうなのかもしれないけど、
過去の実体験なんかがこうして目の前のものに映し出されるというのは、
言葉にするのは難しい何かが昇華されていくようで、
やっぱり言葉にはできないんだけど、気持ちが高揚していく感じがする。
それそのものというよりも疑似体験に近いものではあるけれど、
いろんなことが走馬灯のように甦ってきて、
そんな体験ができていたことに今更ながら感謝の気持ちすら湧いてくる。
まぁ、開業にあたっては大変なこともありますよね、
帝国ホテルほどのドラマはなくっていいけれども、
平和になんて行きませんよね...
地の時代の終焉にそんな経験ができたことも巡り合わせだなぁと、
でも終わらせるべきものは終わらせなくちゃいけないんだよな。
「風の時代」っていうのもよくわかんないけど、
自分にとって大事なこと必要なものを守りながらも、
自分自身もあたらしい自分になっていかなくちゃいけない。
これまでの価値観とか社会通念とか常識とか、
自分自身の固定観念や思い込みや考え方の偏りや癖から、
自由になってもっとのびのびと生きていけるようになりたい。
でも個人天体に「風」のない私は、それってどういうものなのかと悩みがち。
双子座の登場人物たちに学ぶことはできるだろうか?
ヒントを求めて、フランク・ロイド・ライトと遠藤新のホロスコープを読んでみようか。
とはいえ物語に登場するのは彼らの人生のほんの一部なわけだから、その年の誕生日のプログレスとソーラーアークで見てみよう。
ちょうどさっきの月がライトの太陽と同じ双子座17度だった。
小説読み終わって色々調べていると、
ライト館100周年ということで様々な催しがされている様子。
豊田市美術館はしかも、ライト館を明治村に移築した功労者 谷口吉郎の子息、谷口吉生の建築。それでもって建物の雰囲気が好きでよく行ってた「土門拳記念館」の建築家でもある。明治村も当然ながらライト館にフィーチャー。行きたくってうずうず。
それはともかく、上記の展覧会レビューで気になったのが、思想の根底に「フレーベル教育」の影響があるという点。
「フレーベル」と聞くと「あん○んまん」を思い出しちゃうのは、日本の教育が産業化されて間違った方向に行ってしまったことを示唆していて皮肉なんだけど、本来のフレーベル教育ってどんなものだったのか、調べてみると興味深い。
その中でも「恩物」と言われる積み木のようなおもちゃが、のちの建築につながっていったと考えるのは、とても双子座=水星っぽいあり方だなぁと思う。
こういうと誤解を招く雑な言い方だけど、遊びがそのまま仕事になったというか。
あぁでも牧野富太郎もそうだなぁ。好きなことがそのまま仕事につながっていく。
周囲に理解されまいが反発されようが気にせずに、自分がこうだと思うことに突き進む。というよりもとにかく無我夢中なのだ。
そんな仕事ができることがうらやましいなと思う。
でも規模が大きくなるほど一人でできるものでも遊びでできるものでもなくなってく。
まして誰かのためや組織のため、さらにホテルという大勢の宿泊客の安全も預かるような場所では、独創性やこだわりだけを押し通すようなこともできないのだ。
ライトの月は水星が支配するもう一つのサイン「乙女座」にある。
出生時間不明のチャートだからどちらかに寄る可能性が大きいのだけど、
太陽とのスクエア、魚座の木星とのオポジションという、
Tスクエアになるかならないかの微妙な位置関係。
もう一つくっきりしたTスクエアがある。
ドミサイルの牡牛座金星と蠍座土星のオポジションに、獅子座の火星が絡む。
金星の横には冥王星...
アメリカでの名声に影を落としたスキャンダル、それがあったからこそ日本で帝国ホテルに携わることになったけれど苦難と不運の連続だったこと、それでも逆境をバネにし続けていたのか、それとも頑なに自分の為すべき仕事に閉じこもっていたのか、金星の傍にある冥王星がいつもそれを問い続けている。
依頼から10年という長い歳月と膨大な予算オーバーを持ってしても、なかなか完成に漕ぎ着けられない帝国ホテル。最後には経営陣が剛を煮やしてライト解雇となる。
依頼を受けたのがチャートの10年前としたら、プログレスの太陽がちょうど獅子座に入る頃。
地に落ちたライトの名声に再び脚光を浴びせたい、それはライト本人の願いというよりも、ライトの本質的な才能に光を見出した日本人の想いであった。
そうなのだ、自分の価値の横にいつも他者の価値がつきまとい、向かおうとする先には困難が立ちはだかる。
それは心地良いものではないけれど、自分の価値観を表現することで抜きん出ることのできる獅子座の火星で戦い突破し続けてきた。
心の底に乙女座の月を持っているからこそ、自分にできうる限り最高の技能を使って他者の役に立ちたいのだと願ってきた。
金星と並びファイナルディスポジターでドミサイルの水星がノーアスペクト。
日本建築の本質的な美を見出し、西洋建築の技術を使いながらも、誰にも真似できない方法で唯一無二の美しい建物を生み出すことのできる類まれな才能を持っていた。
だけどそこに大勢の思惑や制限や条件が混じってくると、彼が本来求めていた純粋性が損なわれていく。その不安や焦りが完璧主義に走らせる。
強い想いはあるけれども予算は少ないという、日本で言えば自由学園の建物や個人の住宅では、短い工期や予算内で素晴らしい建物を設計することもできていたのだ。
ライトは竣工の一年前に解雇されている。
というよりも、ライトがいたらば完成まであと何年かかったか...
天秤座にある土星は完全な美を求めてまだまだ完成を許さなかっただろう。
竣工の年にはトランジットの木星がネイタル土星とコンジャンクション。
そして20年かけてネイタル太陽・水星・天王星とコンタクトをとり続けてきたソーラーアークの冥王星が、天王星を離れていった。
本来は読まないけど、ソーラーアークの天王星も獅子座を抜けて乙女座へ。
ライトが生み出したものではあるけれど、いずれは彼の手を離れるべき運命、そのタイミングは彼が決められるものではなかったのだ。
ライトにとっての冥王星的なものとはなんだったんだろう?
強烈に惹かれた日本的な価値観もそうだったのかもしれないし、
それを取り入れたライトの建築に惹かれた日本人の強い願いだったのかもしれないし、
もっと言えばライトの思想の根幹となったフレーベル教育なのかもしれない。
冥王星は「他者」の価値観なんてものを超えた、自然的なものに価値を感じる力でもあり、それを受け入れること、例えば運命に身を任せることも意味しているんじゃないか。
他人に認められなくても悲惨な目に遭っても、それでも己の価値観を貫くのか、そんなことをずっと問われ続けた人生だったのだろうか。
ただ内省的な心境に陥るのではなく、太陽の後押しを得て水星の力を存分に発揮できたのは、双子座=風的な力を正しい方向に使えていたんだろうな。
それでも何がここまでさせたのかって言ったら、やっぱり冥王星なのかもしれない。
ネイタル冥王星は本来の座の対極にあるからこそ、過酷な状況を生み出しやすい。
時代も激動。帝国ホテルは建築中に何度も厄災に見舞われた。
それはライトの冥王星が効いていたのかというと、そうかもしれないけど、逆にライトが携わっていたからこそ生き延びることができたのも事実。
日本で初めて採用された工法により、関東大震災からも倒壊を免れたのだ。
この日のチャートまで持ち出すと、サクッと読もうと思ったのに全然終わらない...
でも気になる。水のグランドトラインに牡牛座の月がカイト。乙女座の太陽と金星...
ライトは木星・土星・天王星の水グランドトラインを持っていて、牡牛座の金星と乙女座の月。
ライト悲願の帝国ホテル竣工の日、金星ー月のミューチュアルリセプションがそれを祝福しているようでもあるけれど、彼はその場にいることができなかった。
いや、そのまま日本にいたらやっぱり完成しておらず、そこに関東大震災が重なれば資金面で打ち切りになってしまったかもしれない。
グランドトラインの想いの強さは、細部にこだわることに向けられるのではなくて、震災に耐え得るような建物を建てたことへの評価にとって代わられた。
あるいは依頼主や助手、そして職人ら幾人かは、ライトの本質を見抜き成し遂げたかったことを理解し、その業績を称賛してくれていた。
生みの親にしかわからないこだわりや苦悩はさておき、すでに多くの人の手によって育てられてきたことをライト自身も自覚し、自ら手放して完成させる必要があったのだ。
当初からライトを支え引き継いだのが遠藤新。
ライトと同じ双子座の太陽と牡牛座の金星を持つ。
火星も双子座。水星は双子座を抜け蟹座へ入ったところ。
月はおそらく蟹座でドミサイル。
田舎から東京へ出てきて訛りを馬鹿にされたエピソードや、学生時代に東京駅舎を批判する論文を寄稿するなど、この辺の個人天体をよく表しているなぁと感じる。
獅子座の土星も、自分を表現することには難しさを感じつつも、内に熱いものを秘め、いざという時には言わずにいられない。
天王星が太陽とトラインなので、つい批判的になってしまうところが玉に瑕。
あるいはフォールの山羊座土星。自分の立場を弁えずに大きなことを言ってしまう。
けれどその中でも自分が価値を見出したものの元で働ける幸運を手にする。
双子座には火星があり、ライトの太陽と2度差でコンジャンクション。
太陽とのコンジャンクションは、コンバストでもある。
圧倒的な光を放つライトの影でその影響を大いに受けながら、自分を主張することも忘れとにかく必死に食らいついていこうという時代があったのだろう。
最後には矢面に立つことにもなり、自分自身の身に起こった辛い体験も併せて乗り越えてきた。プログレスの月は乙女座から天秤座へ...それは自立の第一歩となっていく。
遠藤はこの時まだ34歳!中年の危機を先取りしたかのような太陽期を、生き抜いてきたのだなぁ。
月とオポジションの木星回帰前に、かなりスパルタな方法で自らの器を広げていった感じ。
それは獅子座の土星の仕業なんですかね?
私同じところに水星があるんですけど...
思ったよりも数倍長くなってしまったのは、他人様の人生をちゃちゃっと読もうなんて甘い、という土星からのお叱りでしょうか...
あと数年で土星ハーフリターン。いつまでも中年の危機だからってぐずぐずしていられないよと、昨日も言われたところ...
自分に籠るのではなく、理想主義と言われようとも、もう少し外の可能性に開いていこうと思う。